フィロデンドロンはサトイモ科の植物で、主に熱帯・亜熱帯地方に自生しています。耐陰性が強く、比較的乾燥にも強いことから育てやすく、初心者の方にもおすすめです。大型になり、シンボルツリーにもなるような種類から、可愛らしい色合いのものまでさまざまで、コレクション性もあります。
今回はそんなフィロデンドロンの育て方やおすすめの種類について解説していきます。
フィロデンドロンについての詳細
学名:Philodendron
科名:サトイモ科
属名:フィロデンドロン属
原産地:中央アメリカ~南アメリカ
育つ環境
フィロデンドロンの多くは熱帯地方のジャングルのなかです。そのため、高温多湿な環境が適しています。どんな場所で育てるのがよいのかご紹介します。
置き場所
フィロデンドロンは、柔らかい光が当たり、暖かい場所が適しています。耐陰性があるので、暗い場所でもある程度育ちますが、反対に直射日光には弱いので注意してください。
室内で育てる
室内で育てる場合は、カーテン越しの光が当たる窓際が適しています。耐陰性があるので部屋の中央部でも大丈夫ですが、長期間置くと徒長するので注意しましょう。そんな時は、植物用のLEDを照射すると効果的です。
またエアコンの風が直接当たるのはよくないので気を付けてください。
室外で育てる
室外で育てる場合は、直射日光を避けた半日陰で育てましょう。軒下や木陰が適しています。適した場所がない場合は、遮光シートを張って遮光するのもおすすめです。
寒さには弱いので、気温が10℃を下回る頃になったら室内に取り込んでください。
育て方
フィロデンドロンは丈夫な植物なので、育て方はそれほど難しくありません。基本を守れば初心者の方でも失敗は少ないでしょう。
こちらでは、フィロデンドロンの育て方のポイントをご紹介します。
明るさ
フィロデンドロンはジャングルに自生しているので、半日陰程度の明るさが適しています。直射日光は嫌い、反対に耐陰性はあります。
レースのカーテン越しの柔らかい光や、植物用LEDで程よい明るさを当ててあげましょう。耐陰性が強いので、暗い場所でも育ちますが、徒長して形が崩れるので、定期的に明るい場所に置くなどして対策してください。
温度
フィロデンドロンは熱帯、亜熱帯地方に自生しているので暖かい環境を好みます。種類にもよりますが、主に15~30℃が適しています。しかし、暖かい環境を好みはしますが、35℃を超えると弱るので注意してください。
水やり
フィロデンドロンは水を好む植物です。土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。また葉に霧吹きをして与える「葉水」も効果的です。
冬場は生育が鈍るので、水やりの回数を減らしてください。土の表面が乾いて数日経ったくらいが目安になります。また空気が乾燥しているので、葉水は毎日与えても大丈夫です。
肥料
肥料は生育期の初期である春頃に緩効性肥料を与えましょう。また生育期間中は、月に1~2回液体肥料を与えるのも効果的です。肥料の与えすぎは徒長の原因となるので、与えすぎには注意してください。
季節ごとの管理と注意点
フィロデンドロンは熱帯地方に自生しているので、四季のある日本では季節ごとに管理の仕方が変わります。季節ごとの管理と注意点を紹介します。
春・夏
春から夏はフィロデンドロンの生育期になります。
春になって暖かくなって来たら徐々に水やりを増やしましょう。気温が10℃を上回るようになったら、屋外で管理しても大丈夫です。ただ、5月くらいまでは遅霜の可能性があるので注意してください。
夏場は生育が旺盛になるので、グングンと成長する姿が見えます。水切れと直射日光にだけは気を付けてください。
秋・冬
秋になり気温が下がってくると、徐々に生育が鈍くなってきます。水やりを減らし、気温が10℃を下回ったら室内に取り込みましょう。手間はかかりますが、日中は屋外、夜間は室内と移動させるのもおすすめです。
冬場が寒さと乾燥に気を付けてください。こまめに葉水を与え、加湿器を設置するのもよいでしょう。また夜間は思いのほか室温が下がることもあるので注意してください。
フィロデンドロンの種類について
フィロデンドロンは種類数が多いため分類が追い付かず、その数700種以上と言われています。その中で流通するものは一部ですが、おすすめの5種を紹介します。
フィロデンドロン・ビレッティア
フィロデンドロン・ビレッティアは、オレンジの葉柄と矢じり型の細長い葉が特徴です。1株でとても存在感があり、シンボルツリーとしてもおすすめです。
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フィロデンドロン・ベルコーサム
フィロデンドロン・ベルコーサムは丸みを帯びた葉っぱに、オレンジ色の独特な模様が入る種類です。大きくなるにつれて葉の模様が強く出るので、ジックリと大株に育ててください。
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フィロデンドロン・ピンクプリンセス
フィロデンドロン・ピンクプリンセスは名前の通り、ピンク色の斑が入る美しい品種です。その美しさから、フィロデンドロンの中でも1、2位を争う人気種です。
つる性のため、成長するにつれて支柱やヘゴに絡ませると、とても見ごたえが出てきます。
フィロデンドロン・ロジョコンゴ
フィロデンドロン・ロジョコンゴは、新葉が赤褐色色の葉柄に、下葉は艶のある深緑色の葉が特徴です。幹立ちして大きくなり、1株飾るだけでお部屋の雰囲気が作れます。
フィロデンドロン・バーキン
フィロデンドロン・バーキンは斑入りの葉が美しい、フィロデンドロンの中でも定番の種類です。新葉は斑入りの面積が大きく、古くなるにつれて緑が増えます。葉の模様の移り変わりも楽しめる種類です。
植え替え方法
植え替えは春から初夏が適しています。
フィロデンドロンは、腐植質で水はけのよい用土を好みます。初心者の方は市販の観葉植物用の用土がおすすめです。自作する場合は赤玉土:腐葉土を7:3の割合程度で混ぜ合わせましょう。ご自宅の環境に合わせて比率は調整してください。
植え替え手順は以下の通りです。
1.元の鉢より一回り大きな鉢に、鉢底石を入れる
2.鉢の1/3まで用土を入れる
3.フィロデンドロンを抜き、根の周りの土をほぐす。
4.鉢に入れて仮置きし、周りに用土を入れる
5.水やりをする
6.1週間程度、風通しが良い日陰で管理する
枯れる主な原因と対策
フィロデンドロンは丈夫な植物ですが、管理を間違えると枯れることもあります。フィロデンドロンが枯れる主な原因と対策を紹介します。
根腐れ
水を好むフィロデンドロンですが、水の与えすぎは根腐れを起こし、枯れる原因となります。土が常に湿った状態で根腐れは起こりやすいです。表面が乾いてから水やりをするようにしましょう。特に冬期は成長が鈍く、水を吸う量も弱いです。水を与えすぎるよりは、少し足りないかな?と難じるくらいでも十分です。
水不足
水を好むフィロデンドロンなので、水が不足すれば枯れることもあります。
根腐れを心配するあまり、水やりを控えてしまう方もいます。特に夏場は生育が旺盛で、水の蒸散も早いので気を付けてください。フィロデンドロンの状態を見ながら水やりを調整しましょう。
害虫対策
フィロデンドロンに発生しやすい害虫はハダニです。特に室内で育てていると発生しやすいので注意しましょう。対策としては、定期的に葉水をかけることです。ハダニは乾燥していると発生しやすいので、適度な湿度を保つことで発生しにくくなります。また、ハダニは非常に小さいので、葉水が流れると共に流れ落ちていきます。
万が一大量に発生した場合は、市販の薬剤を散布して対処してください。
増やし方
フィロデンドロンの増やし方は挿し木が主です。挿し木をする場合は、5~7月の生育期前半が適しています。
挿し木の方法は以下の通りです。
1.先端から2~3節のところでカットする。
2.赤玉土かミズゴケに挿す。
3.日陰に置き、用土が乾燥にないようにする。
4.1月ほどして十分に発根したら、通常の鉢と用土に植え替える。
カットした節に気根が出ていれば、そのまま植え付けても大丈夫です。
花言葉について
フィロデンドロンの花言葉は「壮大な美」と「華やかな明るさ」です。
明るく美しい色合いの葉色をした種類が多いので、つけられたと言われています。
風水について
フィロデンドロンは「家庭運」に効果があるとされています。家族で過ごすリビングに置くと効果的とされます。
まとめ
フィロデンドロンについて紹介しました。
フィロデンドロンは丈夫で初心者の方でも育てやすいです。耐陰性が高く、独特な姿の種類も多いのでインテリアにもおすすめです。1鉢あるだけで、エキゾチックな雰囲気を作れてとてもおしゃれです。種類も豊富なので、コレクションするのも良いですね。
ぜひこの機会にフィロデンドロンを育ててみてください。